膝・肩・腰の痛み予防
日常生活において、膝、肩、腰の痛みに悩んでいる方はとても多いのではないでしょうか。関節の痛みはちょっとした日常動作でも生じることが多く、生活に支障を与える場面も多々あります。
今回は、それぞれの原因や対処法についてご紹介します。
膝編
膝の痛みとして代表的な疾患 変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、加齢に伴って関節表面の軟骨が摩耗し、膝関節に水が溜まったり動作時の痛みを生じる病気です。
高齢社会を迎えた日本においての患者数は、65歳以上では55%と高いため、“運動器の国民病”ともいわれています。
変形性膝関節症の症状
初期では歩き始めや下り坂の歩行で膝に痛みを生じたり、少し水が溜まったりします。
これらの症状は一時的には良くなりますが、何度か繰り返し生じているうちに徐々に悪化していきます。
多くの人の場合は、膝の内側に痛みを感じ、進行すると内側の軟骨が消失して脚はО脚に変形し、正座や足を伸ばすことが難しくなります。
年のせいだけじゃない?!変形性膝関節症になりやすい要因とは
年齢:高齢になるほどなりやすい
性別:女性の方がなりやすい
肥満:太っているほどなりやすい
膝にかかる体の圧力はなんと体重の3~5倍!!
足のかたち:O脚がきついほどなりやすい
日常生活における注意点
肥満が一番の大敵です。体重が1kg増えただけで歩行時の膝の負担は3kg増加します。
膝への負担を避けるため、山歩きなどの運動よりも食事に気を付けて体重を減らしましょう。
ベッドや椅子を利用して、しゃがむ動作をできるだけ避けましょう。
布団から起き上がったり、椅子から立ち上がる時は、ゆっくりと数回膝を屈伸すると痛みが少なく動き始めることができます。
その他、正座を避ける、階段では手すりを使う、杖をつかう、トイレは洋式を使用することなどが挙げられます。
自主トレーニング
- プールで行う方法
プールでの歩行や膝を伸ばしての「バタ足」は筋力強化や減量にとても有効です。 - 自転車を用いた方法
固定式の自転車での訓練や平地の自転車での移動は歩行より膝に負担をかけずに運動ができます。 - 筋力を強化
椅子に座った状態で片脚ずつ水平に挙げて5~10秒キープし、戻すといった動作を繰り返したり、スクワットなども有効です。
肩編
肩の痛みといえば代表はやはり「肩こり」です。
肩こりは、日本の女性が最も多く訴える症状といわれています。
不安定な姿勢や重い荷物を肩にかけるなどで、上背部の筋肉が緊張し、血行不良になり、疲労が蓄積することによって起こります。特に女性は上体の筋力が弱いため、肩こりになる傾向があります。
また、ストレスがあると無意識に肩に力が入り、呼吸が浅くなっていることがあります。ほとんどの肩こりは、日常生活を改善することで解消できます。
肩こりの主な原因
長時間の前傾姿勢、運動不足による筋力の低下、疲労・冷房などによる血行不良、ストレスによる筋緊張、自律神経の不安定、視力の調整不良、むち打ちなどの頸椎の障害など
肩こり予防のポイント
肩や首の筋肉の緊張をほぐし、血行を良くすることが大切です。
- 椅子に座ったときの悪い姿勢や円背でお尻が下がっている立位の姿勢は直しましょう。いつも同じ肩にバックをかけていたり、片手で重い荷物を持っていたりすることが多い方は、左右交互に持つ、荷物を分けて両手で持つなど肩への負担が分散されるようにしましょう。
- ウォーキングなどの運動は血行を良くし、疲労を回復する効果もあります。
- 入浴は湯船につかって温まることで血行を改善することができます。
- 血行の改善にはビタミンEが有効です。アーモンドやクルミなどの種実類に多く含まれています。また、筋肉の疲労回復にはビタミンB1がお勧めです。豚肉や玄米、大豆、ウナギなどに多く含まれています。
腰編
腰痛は、多くの人が経験する症状ですが、そのうちの約85%は原因が特定できないといわれています。
原因が特定できる腰痛の大半は、「腰椎」と呼ばれる腰の骨の異常によるものです。
10〜40代の若い年齢層では「椎間板ヘルニア」、50〜70代の中高年層では「腰部脊柱管狭窄症」などがあります。
一般的な腰痛は日常生活の姿勢や動作によって、腰の骨を支える筋肉に疲労がたまることが原因で起こります。これを、「慢性筋肉性腰痛症」といいます。
軽い症状ならばすぐに回復しますが、筋肉の疲労が積み重なっていると、腰の筋肉がこわばることで血行が悪くなり、鈍い痛みを常時感じるようになります。
またストレスによっても腰痛は悪化することが分かってきました。
重い荷物で腰を痛めないために
一番大切なポイントは腰だけで持ち上げるのではなく、下半身を使って持ち上げるということです。
腰を落として、からだと持ち上げる物をなるべく近づけ、下半身の力を使って持ち上げます。
ただ単純にしゃがむのではなく、足や太もも、ふくらはぎやおしりの筋肉を使うことが大切です。
物を持ち上げることを意識するのではなく、立ち上がる動作そのものを意識するようにしてみましょう。
姿勢で気を付けること
お腹に力を入れず突き出してみて下さい。からだが上手く安定しないと思います。逆に、お腹を引き締めるとからだが安定したような感じがしませんか?
これは腹圧が高まり、まっすぐ保持する力が発生しているからです。
上半身が固定されるため、腰を折り曲げるような負担を防止することができるわけです。
立ち上がる動作で気を付けること
まず、椅子から立ち上がることを思い出して下さい。頭が膝と同じ位置か、それよりも前の位置になっていますね。
つまりしゃがみ込んで物を持ち上げる時も充分に膝に体重を移動したことを見計らって立ち上がらなくてはならないのです。
腰を落として下半身の力を使っても、真上に持ち上げようとすると腰を痛めてしまいます。
からだ全体を前方へと動かすイメージで持ち上げると、結果的に真上に持ち上がることになります。
物を持ってから気をつけること
- 荷物はできるだけ肩より上には挙げないように注意しましょう。
肩よりも上に持ち上げると腰を反りすぎてしまい、腰を痛めてしまいます。踏み台を使って高く持ち上げずにすむように工夫しましょう。 - 荷物を持った時は,背を伸ばした状態で腰をひねらないことが大切です。
持ち上げた時は背筋が伸びており、水平に回る動作が制限されています。無理やり動かすことで腰を痛めてしまいます。 - 荷物を持ち上げる時に腰を痛めると思いがちですが、下ろす時にも、同じように気を付けましょう。
下ろす時は気がゆるんでしまい、突然力を抜きがちになります。
また重力によって加速がつくため、持ち上げる時よりも腰に大きな負担が加わってしまうのです。
保健師 尾上 里奈